吐血したって?
寺田凛奈は瞳孔を縮めて、急いで口を開いた。「わかりました。すぐ行きます。」
どんな状況でも、まずは人命救助が先決だ!
病院にて。
寺田真治は手術室の外で落ち着かない様子で行ったり来たりしていた。寺田亮が突然吐血したことで、みんな手の施しようがなかった。今、彼のバイタルサインは安定し、もう一度閻魔殿から引き戻されたのだ。
しかし主治医は言った。「寺田さんは今回は助かりましたが、次回は保証できません。彼はまだ意識不明で、脳腫瘍も何とかしなければなりません。」
寺田真治はすぐに言った。「すでにAnti医師を呼びました。」
主治医はこの言葉を聞いて、言いかけて止まった。寺田真治はその様子を見て、思わず口を開いた。「どうしたんですか?」
主治医はため息をついた。「数日前なら、Anti医師でもなんとか手術できたかもしれません。しかし今の寺田さんの体は弱すぎます。さっき肺に血が溜まり、手術もしましたが、もう彼の体は手術に適していません。はぁ...」
手術に適していない...
これはどういう意味だ?
寺田真治は彼の手を掴んだ。「何を言っているんですか?」
主治医はゆっくりと自分の手を引き抜いた。「寺田さん、あなたは...後のことを準備したほうがいいでしょう。」
彼は寺田真治に一礼し、ゆっくりと後退して去っていった。
寺田真治はその場に立ち、眉をひそめた。
彼の視線は再びICU病室に向けられた。
そのとき、廊下の奥から急な足音が聞こえてきた。
寺田真治が振り返ると、本家の長老たちが来ていた。
彼は目を細めて迎えに行った。「おじいさん、どうしてここに?」
このおじいさんは、寺田亮の叔父で、かつては嫡流として輝かしい存在だったが、本家を守るようになってからは寺田家の配当金を受け取るだけで、もはやどんなことにも関与しなくなっていた。
通常、寺田家に不公平なことがあった時だけ、彼らは顔を出すのだ。
しかし、このおじいさんは寺田亮と仲が悪かった。