寺田凛奈が失神した後、寺田芽は安心感を失った。
お父さんと一緒に藤本家にいるのはもう嫌だ。どんなことがあっても、寺田凛奈のそばにいなければならない。甘えたり、可愛らしく振る舞ったり、最後には寺田家の床に転がって駄々をこねたりして、どうしても藤本凜人についていくのを拒んだ。
藤本建吾も黙っていて、黙って彼を見つめていた。その意味は明らかだった。
ママが目覚めるまで、私も行かない!
結局、藤本凜人は仕方なく、寺田真治に申請して、一時的に寺田家に客室を設けてもらい、ここで仕事をしながら二人の子供たちを見守ることができるようにした。
寺田真治が管理人からの電話を受けたとき、口角をピクリと動かした。
この藤本凜人め、腹黒さが極まっている。
彼には信じられなかった。藤本凜人がどうして一人の子供を扱えないのか?それに、本当に扱えないとしても、家に藤本坊ちゃまが寺田家で遊んでいると一言言えばいいじゃないか?