寺田芽と藤本建吾は小さな頭を抱えながら寺田凛奈を見つめていた。普段なら風呂上がりで暇なときはさっさとベッドに入って寝てしまう凛奈が、今は退屈そうにスマホを触りながら、あくびをしていた。
寺田芽は大きな黒ぶどうのような瞳をぱちくりさせながら尋ねた。「ママ、どうしてまだ寝ないの?」
ママが寝ないと、甘いデュオができないじゃない!
寺田凛奈は彼女を一瞥し、またあくびをして、眠くて目が開けられないほどだった。
もう来ないと、寝てしまうわ!
藤本建吾が突然尋ねた。「ママ、パパのメッセージを待ってるの?」
寺田凛奈:?
閉じていた目が一瞬で開き、藤本建吾を見つめながら、咳払いをして、少しかすれた声で、他人には気づかれないような慌てた様子で答えた。「どうしてわかったの?」
藤本建吾はため息をついて「だってパパ、下のリビングにいるもん!」