木田柚凪の体はほとんど震えていた。「父は何をしたというの?父は当時も冤罪だったのよ。今こうなってしまったのも、追い詰められたからです!」
さっきまで不満を言っていたのに、他人が言い出すと、思わず父を守ろうとしてしまう。
伯母は溜息をついた。「そんなに私たちを拒絶しないで。私たちは真由美の祖父母なのよ。彼女を害するわけがないでしょう」
その言葉が落ちた瞬間、入り口から冷たい声が響いた。「ご心配には及びません」
そして、寺田真治が大股で入ってきた。
いつもは笑顔を浮かべている人物が、今は微笑一つ浮かべず、冷たい眼差しで目の前の二人を見つめた。「あなたがたは真由美の祖父母とは言えません」
伯父と伯母は寺田真治を見て、表情に動揺の色を見せた。
伯母は溜息をついて「真治、そんな言い方は…」
寺田真治は眉を上げた。「私が五歳の時、あなたがたが言ったでしょう?この息子はいらないと。絶縁すると。当時は寺田家から追い出そうとまでして…叔父さんがいなければ、今頃私は餓死していたかもしれませんね?」
伯父は突然怒鳴った。「何という口の利き方だ!どんなことがあっても、私たちはお前の実の親なのだぞ!」
寺田真治は嘲るように笑った。「実の親、ですか?」
この言葉に伯父と伯母は口を閉ざした。
寺田凛奈は彼らを見つめていた。
寺田治から寺田真治と大房の両親の関係が良くないと聞いていたが、ここまでひどいとは思わなかった。
彼らは寺田真治に一体何をしたのか、寺田真治がここまで彼らを拒絶し、実の親という言葉まで皮肉るほどに。
実の親よりも寺田亮に育てられた方が良かったと言いたいのだろうか。
そう考えていると、伯母が口を開いた。「寺田真治、恩知らずな!私たちがいなければ、今日のあなたはなかったのよ!寺田家を継ぐこともできなかったはず!」
寺田真治は笑った。「寺田家を継いだのは、叔父さんが同意したからです。あなたがたとは関係ありません」
伯父と伯母は言葉に詰まった。
寺田真治は狐のような目を細めた。「私を怒らせたくなければ、ここを去って、あなたがたの生活を送ってください。二度と私の生活に口を出さないでください」
この脅しの言葉に、伯父は言葉を詰まらせ、鼻を鳴らして出て行った。