寺田凛奈の一言で、その場にいた全員が驚いて彼女を見つめた。
秋田七恵は彼女がなぜ突然そんなことを言い出したのか分からなかったが、怒りを込めて木田柚凪を見つめた。「実の母親も要らない、実の父親も要らないというの?!柚凪、まさかあなたがそんな薄情な人だったなんて!」
木田柚凪は彼女の罵声に眉をひそめた。
しかし、寺田凛奈は笑いながら口を開いた。「実の父親はもちろん大切よ。でも実の母親って...あなたのこと?」
その一言が、大きな波紋を呼んだ!
その場にいた全員が、信じられない様子で寺田凛奈を見つめた。
木田柚凪さえも眉をひそめ、困惑した様子で寺田凛奈を見た。
秋田七恵の目が一瞬揺らいだが、一人の若い娘に何が分かるというのかと思い、涙ながらに言った。「私が母親でないわけがないでしょう?十月十日の苦労をして産み育てたのに、今になって母親を否定するなんて。そうよ、私は彼女に優しくなかったかもしれない。でも命を与えたのは私よ!それは切っても切れない親子の絆なのよ!」
周りの人々も次々と頷いた。「そうですよね、親は子に命を与えたんだから、それだけでも恩があります。母親を認めないにしても、実の母親を告発するなんて...」
「これは不孝すぎる...」
秋田七恵は周りにまだ味方がいることを聞いて、木田柚凪を見つめた。「柚凪、選びなさい!もし堀口おじさんを警察に連れて行かせたら、私も今すぐ警察に告発するわよ!」
寺田凛奈は手を後ろで組み、アーモンド形の瞳を輝かせながら、まるで馬鹿を見るかのように秋田七恵を見つめた。「さっき言ったでしょう?告発すればいいわ。あなたはムヘカルに強姦されたと言うけど、ムヘカルは本当の愛だったと言い、柚凪の存在は二人の愛の結晶だと。告発する側が証拠を示さないといけないのよ。証拠がなければ、どこに訴えても無駄よ!」
そう言って、彼女は意図的に秋田七恵を見つめ、ゆっくりと続けた。「そうなれば誣告罪で、堀口さんと一緒に刑務所行きね。」
そして、DNAの検査結果を手で軽く叩きながら言った。「あら、忘れてた。男女は別々の刑務所だから、夫婦二人は離ればなれになるのね...でもムヘカルの方は、実はちょっとした過ちだけだから、2年ほどで出所できるわ。」
彼女は眉をひそめた。「確か、ムヘカルおじさんは気性が荒くて、何度か...」