彼は一歩一歩慎重に、そして困難を伴いながら歩いていたが、確かに立ち上がることができた!
彼の額には細かい汗の粒が浮かんでいた。
リリは傍で彼を支えながら言った。「あなたはまだ回復したばかりよ。無理は禁物。もう少し歩いたら、すぐに横になって!」
「ふん、休養が必要なのは他人のことさ。怪我する前は京都で第三位だったことを忘れないでくれ!」
寺田洵太は疲れで声が弱々しくなっているのに、相変わらず強がっていた。
リリは口角を引きつらせて「はいはい、世界第三位でもいいから、ちゃんと休んでよ!」
「……もう一周歩く。」
寺田洵太は言うことを聞かず、動き続けながら言った。「わからないだろうけど、このところずっとベッドで寝てばかりで飽き飽きしていたんだ!」
そう言って、リリの方を見ながら歯を見せて笑いながら続けた。「俺が凛奈をあんなに信頼していたように見えたかもしれないけど、実は自信がなかったんだ。もし本当に立ち上がれなくなったらどうしようって、心配していたんだ。」