倉田隊長は確信していたことが、突然不確かなものとなり、心が乱れ始めた。
彼は自分に落ち着くように言い聞かせながら、部屋の中を行ったり来たりしていた。
理性は彼に告げていた。誰も死者を生き返らせることはできない。相馬さんは脳死状態で、遺伝子薬剤を注射したとしても、生き返ることはないはずだと。
一方で、特殊部門で多くを見てきた彼は、遺伝子薬剤を注射した人々がどれほど強くなるかを知っていた。
以前、彼らの部隊が一人の女性を逮捕した時、その女性は遺伝子薬剤を注射した後、途方もない力を得た。彼は自分の目で、その女性が150キロの物を軽々と持ち上げ、遠くへ投げ飛ばすのを見たのだ……
見聞きすることが増えるほど、彼はその遺伝子薬剤に対する畏怖の念を強めていった。
倉田隊長は突然深く息を吸い、自分の席に座った。