寺田凛奈は元々、入江冬月が明らかに自分を困らせようとしているのは分かっていたが、彼女のやり方は確かに規則に従っていると考えていた。
このような取り調べで、神秘組織の黒幕が渡辺詩乃だと判明した以上、彼女が自分を取り調べるのは当然だった。
しかし寺田凛奈は他人ではなく、特殊部門の内部関係者だ。
取り調べるにしても、人情的に考えれば先に石山博義に相談すべきだった。結局、彼女は石山博義が特別採用した人物なのだから!
だから、入江冬月が彼女を拘束し、出さないのは、彼女が本当に神秘組織と関係があって逃亡する可能性を防ぐためだと理解できた。
そのため、最初は協力するつもりでいた。
どうせ石山博義が戻ってくれば、すべてが明らかになるはずだから。
これが先ほど藤本柊花を落ち着かせて、先に帰らせた理由でもあった。