第630章 本当の理由！

谷本蒼樹は部屋にいる全員に視線を走らせ、冷笑いながら言った。「春姫が妊娠したぞ！」

「……」

リビングは静まり返った。

皆が彼の方を見つめた。

谷本奥様は呆然として、思わず叫んだ。「本当なの？」

谷本蒼樹は頷いた。「もちろん本当さ。今検査で分かったばかりだ。お母さんが電話してきた時、俺は春姫と一緒にいたんだ！お母さん、この女に頼む必要なんてないよ。孫が欲しいなら、もう手に入ったんだから！」

そう言うと、彼は三原伶を見て、嘲笑うように言った。「ふん、自分の責任から逃げるためにここまで嘘をつけるとは思わなかったな。」

三原伶は唇を噛みしめ、寺田凛奈の方を見て、震える声で尋ねた。「弱精子症で、妊娠できるんですか？」

寺田凛奈は少し黙った後、答えた。「治療せずに妊娠する確率は極めて低いです。」

低すぎて無視できるほどの確率だった。

しかし、可能性が全くないわけではなかった。

彼女の言葉が終わるや否や、谷本蒼樹は嘲笑った。「へぇ、今度は確率論で話をごまかそうってか？言っておくが、春姫は一年前にも妊娠してたんだ！その時は子供を産ませなかったけどな。今また妊娠した！これをどう説明する？俺が本当にダメなら、どうして春姫とは毎回うまくいくんだ？それに、俺は一度も自分がダメだと思ったことなんてない！むしろ三原伶、お前こそ毎晩あんな声を出して、結局お前がダメなのか、俺がダメなのか？」

三原伶：！！

彼女の顔は真っ赤になった。

こんなことを、なぜ人前で話すのか。

それに、夜の声も彼に合わせただけで……実際この男の本当の実力は、たいしたことはなかった。

でも結婚したばかりの頃、感じていないときも、彼は常に彼女に聞いてきて、強要してきたから、演技するしかなかった……

三原伶は必死に首を振って、吐き気を催すようなことを考えないようにした。

そう。

毎月の夫婦の営みは、彼女にとって拷問であり、吐き気を催すものだった。

谷本蒼樹に対して、彼女は男の自惚れと根拠のない自信しか見ていなかった……

彼女は拳を握りしめた。