三ヶ月の時間……
入江桂奈の目的は、やはりこれだった。
寺田凛奈は手にしたV15薬剤を見つめ、この瞬間、和夜に注射すべきかどうか迷っていた。
注射しなければ、十日後に彼は死ぬ。
注射すれば、彼はこの薬剤にさらに支配されることになる。
寺田凛奈は目を伏せた。
藤本凜人が出てきて、彼女の肩に手を置き、言った。「和夜の熱は下がったよ。心配いらない」
寺田凛奈がいれば、入江和夜は熱を出しても何の問題もないはずだった。
寺田凛奈は頷いた。
その時、執事が突然近づいてきて、二人を見つめ、黙り込んでしまい、どう報告すべきか一瞬迷っていた。
寺田凛奈は尋ねた。「どうしたの?」
執事はため息をついた。「若様のペットの中で、一匹の猫が、もうダメそうです」
「……」
寺田凛奈は階下の部屋に向かった。藤本家の藤本奥様は特別にペットを飼っていたので、家にはペットの世話ができる人がいて、入江和夜の十数匹のペットたちを大切に世話していた。