電話を切ると、藤本凜人は前方を見つめた。
その瞳には寂しさが浮かんでいた。
彼は母親が突然自分を愛さなくなったとは信じていなかった。子供の頃、気を失うまで頑固に抵抗したが、目覚めた後、もう母親を探しても無駄だと悟った。
その後、徐々に成長していく中で、ある日、家の使用人が自分を撮影してどこかに送信しているのを発見した。
最初は何か陰謀があるのではないかと警戒していたが、時が経っても特に何も起こらなかった。
藤本凜人は黙々と成長し、ハッキング技術を習得して相手の携帯に侵入し、その秘密を知ることになった。
なんと、彼の幼少期からの映像は全て、この使用人によって無関心な母親に送られていたのだ!
そして母親の携帯にも侵入してみると、彼女は彼の幼い頃からの映像を全て保存しており、一度も削除していなかった。
そして毎晩、寝る前に彼の映像を何度も見ていたのだ。
その時の藤本凜人は、十三歳だった。
それ以来、母親には何か隠していることがあり、やむを得ない事情があるのだと確信した。
言わば、彼は一度も母親を誤解したことはなかった。
しかし、それは怒りを感じていないということではない。
彼も怒りを覚えていた。
子供の頃は力がなかったから、母親が隠していたのは彼のためだったかもしれない。でも年を重ねた今でも、母親は彼を信用できないのだろうか?
それに……
感情というものは日常的な接触の中で育まれるもの。二十年もの離別は、彼と佐竹璃与の間に会話を失わせてしまった。
だから後に、彼は時々別荘に彼女を訪ねるだけで、それ以外はほとんど行かなくなった。
彼は待っていた。
母親が自ら真実を話してくれるのを待っていた。しかし今の様子では、母親は一生話すつもりはないのだろうか?ただ彼に迷惑をかけたくないという理由で?
藤本凜人は俯いた。
実は、時々もう調べるのも嫌になることがある。
調べて何になるのか?
彼女は自分の成長を見守ってくれなかった。なぜ自分が彼女の老いを看取らなければならないのか……それに、習慣というのは恐ろしいもので、彼は既に彼女のいない家庭に慣れてしまっていた。
もしある日突然、母親が耳元でうるさく話しかけてきても、おそらく違和感を覚えるだろう。
しかし志村から彼女が泣いていたと聞いた時、彼の心は少し柔らかくなった。