第742話 明日は取締役会!

郊外の別荘にて。

寺田凛奈は窓辺に立ち、遠くに去っていく車を見つめながら、口を尖らせてから振り返り、ダイニングテーブルに座った。

目の前には藤本凜人が用意した昼食があり、ステーキは小さく切られ、中華スープもあって、なんとも中途半端な様子だった。

しかし寺田凛奈はそんなことは気にもせず、スープを一口飲んで評価した。「昨日は塩辛かったけど、今日はちょうどいいわ」

「うん、これは料理の才能があるってことだな」

藤本凜人は笑みを浮かべながら言い、さらにもう一杯スープをよそった。

寺田凛奈は彼を一瞥し、褒めた。「ご苦労様。でも料理って大変だから、もう学ばなくていいわ。私が料理人を雇うから」

藤本凜人は眉を上げた。「大変かな?僕には簡単に思えるけど」

「簡単?」

寺田凛奈は眉を上げ、続けて話し始めた。「知ってる?私、今まで人生で三回しか料理したことないのよ」