第764章 蛇を誘い出す

関谷和正はその場に立ち尽くし、部屋の中の人々を呆然と見つめていた。

藤本凜人がそこに立っており、ソファには三人が座っていた。寺田輝星、小泉彰隆、そしてもう一人の女性だ。

傍らのチンピラがまだ叫び続けていた。「言っておくけど、この方は藤本さんの友人で、関谷社長だ!揚城の担当責任者で、しかも小坂門の人間だぞ。さっきお前が俺たちに手を出したのは、本当に度が過ぎてる。お前はもう終わりだ!」

そう言うと、関谷和正の方を向き、藤本凜人を指差して言った。「社長、さっき手を出したのはこのボディーガードです!」

関谷和正:「……」

彼は目をこすりながら、困惑した様子で尋ねた。「このボディーガード、どうして大師兄にそっくりなんだろう?」

藤本凜人:「……」

寺田凛奈:「……」

寺田凛奈は最初、この関谷和正が遺伝子薬剤に何か関係があるのか、あるいは誰かに指示されているのかと思っていたが、今この呆けた様子を見て、思わず口角を引きつらせた。