スタッフ大学の中には、留学生がたくさんいて、ヨーロッパ人、アジア人、そして黒人も、みんな調和して歩いている。
ここは、世界中の学術的議論の中心地であり、国家間の憎しみも、肌の色による軽蔑もない。ここに入れば、誰もが科学研究のために努力する学生となる。
スタッフ大学の中は、そんな印象を与えてくれる。
迎えてくる空気は若さに満ち溢れている。
もちろん、そんな溢れる雰囲気の中で、若者たちはアイドルを追いかけることもあるので、あの驚きの声が聞こえた後、多くの人が一斉に入り口の方を振り向いた。
瑛士?
これは国際的なスーパースターだ!
歌やダンス、演技も業界で評価が高く、さらにハリウッドの主演男優賞も獲得している。このアジア人男性は、アメリカの老若男女を魅了していた。
だから、みんな足を止めた。
しかし、大学生たちはそれぞれの地域や分野のエリートであり、自分の誇りを持っているので、国内のファンのように一斉に押し寄せて、アイドルを真ん中に押し込むようなことはしない。
彼らはただ驚きの声を上げた後、礼儀正しく脇に立ち、瑛士とアシスタントたちが通り過ぎるのを静かに見ていた。
寺田凛奈は本来、瑛士を気にするつもりはなかった。
しかし前を歩いていた人が立ち止まり、彼女の道を塞いだので、他の人と同じように振る舞いたくなかったため、足を止めて見ることにした。
今日の瑛士も濃いメイクをしており、まるで一晩中寝ていないかのような目の下のクマ、スモーキーメイクが濃すぎて寺田凛奈は直視できないほどだった。
こんな男がどうやって自信を持って、自分が藤本凜人よりもハンサムだと思えるのか本当に不思議だ。
寺田凛奈はそう思いながら、口をとがらせた。
しかし次の瞬間、瑛士は突然足を止め、寺田凛奈の方向を見た。二人の視線が空中でぶつかった。
寺田凛奈の杏色の瞳が鋭くなり、唇の端に嘲笑の笑みが浮かんだ。
この瑛士は、昨日彼女を弄んでおきながら、今日は彼女を見る勇気があるのか?
寺田凛奈がそう考えていると、目の前の「瑛士」の吐き気を催すような双眸が、今は非常に深遠で、漆黒の瞳の中に、捉えどころのない光を放っていた。
この見覚えのある眼差しに、彼女は雷に打たれたように立ち尽くした。