上級文書室の内部は、すべて金属質感のデザインだった。
文書室と言っても、実際には大型の金庫のようなものだ。寺田凛奈はこのハイテクな部屋を見回した。部屋は500平方メートル以上あり、周囲の壁には多くの棚が設置され、その上には小型の箱が並んでいた。
それぞれの箱には、番号が記されていた。
凛奈が見渡すと、外から内まで、数百から千個ほどあった。
中央には長いテーブルがあり、その上には紙とペンだけが置かれ、非常に整然としていた。
上級文書室内の文書はすべて重要機密であり、漏洩は許されない。機密保持のため、QやYのようなハッカーの攻撃を防ぐために、決してコンピューターに入力されることはなかった。
また、ここの文書は決して外部に貸し出されず、資料を調べたい場合は、この文書室内で行う必要があった。
そのため、今、長いテーブルには様々な分野のエリートたちが座っていた。彼らの大部分は大学院生で、指導教授のプロジェクトに参加していた。
一部の教授も資料を借りに来ていた。
学部生でここに入る資格を持つのは、ほんの一人か二人だけだった。
凛奈は静かに入室したが、部屋いっぱいの人を見て驚いた。
こんなに賑わっているとは思っていなかった。
彼女が入ると、当番の学生が直接尋ねてきた。「あなたは誰?どうやって入ってきたの?」
凛奈はしばらく考えた。
当番の学生の目は警戒心に満ちていた。ここで資料を調べることができる人は限られており、彼は確実にそれを知っているはずだ。
だから、本を読みに来たふりをするのは無理だろう。
凛奈はあっさりと言った。「間違えました」
そう言って、出ようとした。
しかし当番の学生に止められた。「学生さん、行かないで。状況を説明してもらわないと。さもないと、学校の重要資料を盗もうとしていると疑う理由があります」
上級文書室はスタッフが世界各国の大学でトップ3に入る重要な資本であり、ここのセキュリティは非常に厳しいはずだ。
凛奈は手に持ったカードを見下ろした。
カードを拾って、ここがどこか分からずに入ってしまったと説明しようとしたとき、突然低い声が聞こえてきた。「どうしてここに来たの?」
凛奈が振り向くと、瑛士の派手なメイクをした顔が見えた。