『人狼の島』

ザデンの視点

ザデンは数時間前にキャンプを出発してから乗り続け、島にどんどん近づいていた。

エリックが自分を憎むだろうことはわかっていたが、他に選択肢はなかった。

もう自分のために部下を死なせたくなかった。

アルファではあるが、民に借りがあるのだ。

痛みはより頻繁になり、急な坂を下っている今も胸が焼けるように痛むのを感じた。

彼は苦痛に呻き、片手で痛む箇所を押さえながら乗り続けた。

何とか道を見つけて、キャンプに戻らなければならない。

そして馬が登るのが難しそうな場所に到着した。

馬から降りて近くに縛り付けたが、自由に動けるよう緩めに結んだ。

荷物をまとめ、目の前に整然と並ぶ大きな岩を見上げた。

そして登り始めた。

一歩一歩、岩の側面に手をかけながら上へと登っていった。

バランスを取るため、岩の隙間に足を置いてからさらに登っていった。

そして誤って指を小さな岩の窪みに入れたとき、何か変な感触がした。

引き抜いてみると、普通だが巨大なサソリだったので、驚いて投げ捨てた。

その動作で手を滑らせ、滑り落ちた。

落下する前に必死で再びしっかりと掴もうとし、幸運にもそれに成功した。

アドレナリンが全身に駆け巡る中、彼は大きくため息をついた。

自分が落ちかけたときに落ちた岩を見下ろした。

岩は下の霧の中へと落ちていき、あまりにも遠くまで落ちていったので、少しでも間違えば即死だとわかった。

再び上を見て、登り続けた。

ついに丘の頂上に到達すると、そこには朽ち果てた廃墟となった王国が広がっていた。

彼は目の前の光景に呆然とした。

かつては栄えていた文明が今は見捨てられていることは明らかだった。

彼は、かつては美しかったであろう家々が今では醜く荒廃した村を通り抜けた。

時折飛び交う鳥以外は静寂に包まれていた。

エリックは少年の頃、この地を最後に去った人物だと言っていた。

そしてエリックは現在30代前半だ。

この村は少なくとも25年以上前に放棄されたに違いない。

彼は生気のない静かな村を無視し、見上げる城へと向かった。

城に到着したときには、すでに午後半ばになっていた。