「生命の杯」

彼らは今、闘技場にいた。

観客席には何層もの列があり、人狼の島の人々で埋まっていた。

三日月の群れのメンバーたちは、ザデンと共に最前列に座っていた。

今は暗く、月光だけが反射していた。

エリックはシャツを着ずに、開けた円の中央に立っていた。

戦いの開始を告げる鐘が鳴ると、彼は狼に変身するはずだった。

エリックは父親が姿を現すのを見つめ、人狼の島の人々から歓声と喜びの声が上がった。

「エリックが自分の父親が人狼の島の王様だということを誰にも言わなかったなんて、まだ信じられないよ」とオーウェンは言った。

「それだけじゃない。彼は人狼の島の王位継承者でもあるんだ」とローワンがつぶやいた。

ザデンはため息をつき、自分が王のように椅子に座っている一方で、副官であり親友が、他ならぬ自分の父親である不死の存在と戦おうとしていることに居心地の悪さを感じていた。

「自分の父親と戦うなんて、どんな気分だろう」と誰かが言った。

「彼にはザデンのために戦う以外に選択肢がなかったんだ」とオーウェンが答えた。「アルファ・ザデン、どんな気分ですか?」

ザデンは彼らに、ふざけている場合じゃないと言わんばかりの厳しい視線を向けた。

そして彼らは皆黙った。

その後、彼らは闘技場の地面に目を向けた。

「鐘の音が鳴ったら、両者は戦いを開始する。人狼の島の王の息子であるアルファ・エリックが勝利した場合、彼と彼の仲間たちは生命の杯を手に入れ、無事にライカンスロープを去ることができる。しかし、人狼の島の王が勝利した場合、彼は群れの全メンバーを自由に扱い、また一人息子のエリックを自分の意志に従わせることになる」

場内は静寂に包まれた。

「始め!」と司会者が鐘を鳴らした直後に言った。

その瞬間、エリックは巨大な狼に変身し、王も同様に狼の姿になった。

王の狼はエリックのものよりもはるかに大きく、左側に骨が露出していた。

左側の皮膚がなく骨が見えていたが、他の部分は肉付きがよく、その強さを示していた。

すぐに彼らは戦いを始め、お互いを攻撃し合った。

最初のうち、王はエリックを圧倒していた。