第109章：自業自得、救いなし

部屋のドアが開くと、中から聞こえていた微かな音が突然止んだ。まるで最初からなかったかのように。

　　林婉婷は表情を変えず、「気遣う」ような顔で言った。「ゆっくり休んでね」そう言いながら、蘇千瓷を引っ張って中に押し込もうとした。

　　蘇千瓷の瞳が冷たく光り、心が沈んだ。突然、中から再び微かな喘ぎ声が聞こえてきた。

　　その声は非常に小さかったが、蘇千瓷の危機感を大きく高めた。

　　おかしい、中には絶対に何かがある！

　　背中で林婉婷の力に抵抗しながら後ろに下がり、彼女の手を振り払った。林婉婷は痛みで悲鳴を上げたが、不意を突かれて蘇千瓷に強く前に引っ張られ、頭から部屋の中に転げ込んでしまった。

　　「ハァ......シィ......」

　　部屋の中は真っ暗だったが、荒い息遣いがすぐそこまで聞こえてきた。