第124章:泥棒が家に入った

目を覚ませ?

  厲浔老首長が、まさかモルディブに行ったことがないなんて?

  彼女は信じられなかった!

  でも、そんなことは絶対に言えない。

  蘇千瓷は少し躊躇した。「これは…」

  「それとも、この老いぼれと一緒に行きたくないのかい?」厲老爺は少し憂鬱そうにため息をついた。「やっぱり年を取ったな。孫の嫁にまで嫌われるとはな!」

  「そんなことありません」蘇千瓷は急いで反論した。

  「じゃあ、決まりだな。ごまかすなよ!」

  蘇千瓷:「……」

  ごまかしているのは彼の方じゃないかしら?

  電話を切ると、すぐにドアがノックされた。

  容おかあさんだった。

  「奥様、お食事の準備ができました」

  「はい、すぐに行きます」

  返事をしたが、ドアを開けて出ようとすると、容おかあさんがまだ彼女のドアの前に立っていた。

  「奥様、これをどうぞ」容おかあさんは小さな封筒を渡した。

  目を落として中身を取り出すと、一枚の写真だった。

  写真には、優雅で気品のある白い三角ピアノが、幾重にも重なる藤の花の下に置かれていた。金色の斑驳な陽光が藤の隙間から差し込み、ピアノの上に点々と金の粉を散りばめていた。

  白い服を着た少女がピアノの前に座り、目を伏せて演奏している。顔に少し濡れた様子が見える。

  そして、少女の背後には、背の高くすらりとした人影が立っていて、表情は…

  蘇千瓷はその男性の表情を見て、彼の顔に柔らかさを見出した。

  普段の冷たさとは全く違う。

  彼女の錯覚だろうか?

  「あなたが撮ったの?」

  容おかあさんはうなずいて言った。「奥様、実は旦那様はそれほど冷たい人ではありません。私が彼を半分育てたようなものですから、彼のことをよく分かっています。口では言わないだけで、もう奥様のことを認めているんです」

  蘇千瓷は容おかあさんのこの言葉を聞いて、少し呆然とした。

  容おかあさんは彼女の動揺を見て、聞き入れたと思い、続けた。「夫婦の間には乗り越えられない問題はありません。旦那様とよく話し合って、家に戻ってきてもらいましょう。毎日ホテル暮らしじゃ、世話をする人もいないし、みっともないです」