第148章：許さない

琴の音が止むと、大広間全体に雷鳴のような拍手が響き渡った。

　　宋一帆は、最初の部分を弾き終えた後、もう介入することはなかった。

　　これはほぼ、蘇千瓷一人のための舞台だった！

　　「あの人は誰？すごく上手だわ！」

　　「聞いたことないけど、すごくきれいね」

　　「本当に美しい。宋一帆はまだ結婚してないんだって。二人並んでるの…お似合いね」

　　「いやいや、宋一帆は彼女よりずっと年上に見えるわ。それに、彼女は彼氏と一緒に来てるみたいよ。ほら、あそこ」

　　そう言われて、多くの人が蘇千瓷が元々座っていた場所を見た。

　　「わぁ、かっこいい！」

　　「あぁぁ、あれは厲司承じゃない？厲司承よ！」

　　「まさか、本当に厲司承なの？」

　　「すごい、今日は何てラッキーなんだ。こんなに多くの有名人を見られるなんて！」

　　「ちょっと待って、あの女の子は厲司承の彼女？いや…真実は教えないで。静かにしたい。静かにって誰かって聞かないでよ」

　　「でも、厲司承は結婚してたんじゃなかった？」

　　……

　　蘇千瓷は周りの議論を聞いて、まるで猿を見るような目で見られている気がして、顔を真っ赤にして急いで立ち上がった。

　　宋一帆も同時に立ち上がり、ほぼ同時に二人はお互いにお辞儀をした。

　　「夫婦の対拝だ！」

　　誰かが嫌味な声で叫び、周りを爆笑の渦に巻き込んだ。

　　蘇千瓷の心臓は急激に早くなったが、周りのこの冗談に嫌悪感はなかった。

　　結局、これは彼女のアイドルなのだから！

　　宋一帆を見て、蘇千瓷は赤面しながら目を上げ、瞳は輝いていた。勇気を出して言った：「宋さん、一緒に写真を撮っていただけますか？」

　　「光栄です」

　　宋一帆のこの言葉に、また多くの女の子たちの悲鳴が上がった。

　　「気絶しそう、宋様ってなんて紳士的で成熟してるの！」

　　「私、ファンになっちゃう！」

　　「やっぱり成熟した男性が一番魅力的よね！」

　　しかし、蘇千瓷が携帯を取り出してカメラを開こうとした時、大きな手が彼女の携帯のカメラを遮り、一瞬で奪い取った。

　　蘇千瓷は驚いて振り向くと、明らかに不機嫌で険しい表情の美しい顔を目にした。

　　心臓がドキッとして、蘇千瓷は最初怒ろうとしたが、すぐに意気消沈してしまった。