第225章:不安な媚び

キスがどれだけ続いたかわからないが、厲司承はようやく蘇千瓷を恋恋不舎に放した。

  「ドアをしっかり施錠して、窓も閉めて、一人で家にいるときは気をつけてね」

  「うん」

  「明日容おかあさんが来たら、君の部屋の荷物を私たちの部屋に移動してもらおう」

  「うん」

  「おとなしく家で待っていてね、帰ってくるまで」

  「うん」

  「行ってくるよ」

  「うん」

  厲司承は手を伸ばして彼女の髪を撫でた。その動作は言葉では表せないほど愛情に満ちていた。そして荷物を持ち上げ、程幽の車に向かった。

  蘇千瓷は彼が去るのを見送り、心の中は甘くもあり寂しくもあった。家に入り、ドアをしっかりと施錠した。

  パソコンを抱えて部屋に戻ると、携帯に何件か不在着信があることに気づいた。陸亦寒から2件、宋一帆から3件。

  まず陸亦寒に折り返したが、誰も出なかった。

  切って、今度は宋一帆にかけ直すと、すぐに応答があった。「もしもし、千瓷」

  「宋おじさん」

  「あー、時間ある?ちょっと用事があってね」

  「何でしょうか」

  「12日は空いてる?私と一緒に帝都の音楽ツアーに参加してみない?」

  「帝都?」

  「うん、そう。だいたい金曜の午後に出発して、日曜の午後に帰ってくる、つまり14日だね」宋一帆は言ったが、すぐに付け加えた。彼女が断るのを恐れているかのように言った。「時間がないなら、別に構わないけど...」

  「いいですよ」蘇千瓷は彼の言葉を遮った。「ちょうど厲司承が家にいないし、家にいても退屈だし」

  「本当?」宋一帆は少し嬉しそうだった。

  「ちょうど金曜の午後は授業がないんです。何時ですか?どうやって行くんですか?」

  「午後3時、私が飛行機のチケットを予約するよ!」

  「はい」

  「じゃあ、そういうことで。当日会おう」

  ......

  電話を切ると、蘇千瓷の唇の端がかすかに上がった。

  気のせいかもしれないが、宋一帆は彼女に対して何か不安そうな様子で気に入られようとしているような気がした。

  彼も疑っているのだろうか?