第273章:こいつはもうダメだ……

宋一帆のそんな大きな反応を見て、蘇千瓷は次に言おうとしていた言葉を飲み込んだ。

  宋一帆は自分の失態に気づき、少し恥ずかしくなって顔を赤らめ、すぐにかがんで落ちたフルーツナイフを拾おうとした。

  しかし、そうやってかがんだ瞬間、額がテーブルの透明なガラスにぶつかり、はっきりと「ドン」という音がした。

  蘇千瓷は驚いて叫んだ。「大丈夫?」

  宋一帆はさらに恥ずかしくなり、顔が真っ赤になった。まるで昔、初めて舞台に立った時のようだった。

  首を振ったが、蘇千瓷は彼の手を見て驚いて叫んだ。

  宋一帆が目を落として見ると、自分の手から赤い液体が出ているのが見えた。

  気づかないうちに、手に持っていたフルーツナイフが逆さまになっていて、刃が向いていた手のひらがちくちくして、それほど痛くはなかった。