第306章:私は厲司承がこんな人だとは思わなかった

「容海嶽……」厲北行はその名前を繰り返し、意味深な口調で言った。「彼は父さんと同じ階級だぞ。本当に彼の部下を調べるつもりか?」

容海嶽の軍階は、厲堯と同じだった。

この二人は表面上は穏やかだが、裏では激しく争っていた。

もし厲北行が軽率に容睿のことを調べ始め、容海嶽に発見されたら、間違いなく面倒なことになるだろう。

厲司承はこのことをよく知っていたので、容睿の身元を突き止めた後、さらに踏み込むことはしなかった。厲家に面倒をかけたくなかったからだ。

しかし、今は……

厲司承は冷笑し、その冷たさは受話器を通じて厲北行を凍らせそうだった。「彼に知られてほしいんだ、私が彼の部下を調べていることを」

事態がこうなったのは、容睿が操作していたに違いない。

容睿でなければ、前回書斎で真相はすでに明らかになっていたはずだ。