ドアを開けると、部屋に漂う淡い煙草の香りが鼻をついた。
奥へ進むと、冷たい風が吹き込んできて、蘇千瓷は思わずぞくっとした。
窓が大きく開かれ、白いカーテンが風に揺られて舞い上がっていた。外は既に真っ暗で、月が明るく星がまばらに輝き、風に木々が揺れていた。
厲司承は窓辺に立ち、先ほどと同じぴしっとしたスーツ姿で、肘を窓枠に乗せ、長い指の間にタバコを挟んでいた。
煙がゆらゆらと立ち上り、風に吹かれて室内へ流れ込んでいた。灰が長く伸び、風の入り口で今にも落ちそうだった。
誰かが入ってきたのに気づいても、厲司承は振り向く素振りも見せず、ゆっくりと灰を灰皿に落とした。彼の声は低く穏やかで、風の中でやや揺らいでいるように聞こえた。彼は言った。「君は僕のことが嫌いなのか?」