探し回った後、蘇千瓷は魂の抜けたような様子で元の道を戻った。
容海嶽の病室の外に来ると、蘇千瓷はドアをノックした。中からすぐに「どうぞ」という返事があった。
容海嶽の声だった。
蘇千瓷が入ると、ベッドに寄りかかっていた容海嶽の目が輝いたが、よく見ると、目の奥に気づかれないほどのわずかな落胆の色が浮かんだ。軽く笑みを浮かべ、「ああ、君か」と言った。
この子か……
彼はさっき、思わず彼女を別の人と間違えそうになっていた。
蘇千瓷はうなずき、心から言った。「昨晩は、ありがとうございました」
「礼には及びません。他の誰であっても、同じように助けたでしょう」
だから、君が彼女に似ているからというわけではない。
容海嶽は心の中でそう自分に言い聞かせたが、その顔を見ると、胸が痛むほど締め付けられた。