探し回った後、蘇千瓷は魂の抜けたような様子で元の道を戻った。
容海嶽の病室の外に来ると、蘇千瓷はドアをノックした。中からすぐに「どうぞ」という返事があった。
容海嶽の声だった。
蘇千瓷が入ると、ベッドに寄りかかっていた容海嶽の目が輝いたが、よく見ると、目の奥に気づかれないほどのわずかな落胆の色が浮かんだ。軽く笑みを浮かべ、「ああ、君か」と言った。
この子か……
彼はさっき、思わず彼女を別の人と間違えそうになっていた。
蘇千瓷はうなずき、心から言った。「昨晩は、ありがとうございました」
「礼には及びません。他の誰であっても、同じように助けたでしょう」
だから、君が彼女に似ているからというわけではない。
容海嶽は心の中でそう自分に言い聞かせたが、その顔を見ると、胸が痛むほど締め付けられた。
蘇千瓷が近づき、彼の袖の下に明らかに包帯が巻かれた腕を見て、深々と頭を下げた。「すみません。あなたに怪我をさせてしまって」
容海嶽は急いで彼女を起こし、言った。「言ったでしょう。他の誰でも同じように助けたはずです。昨晩のような状況では、見て見ぬふりをする人はいないでしょう。まして、私は軍人なのですから」
「わかっています」
「わかってくれていればいい。軍人というのは、正義の化身なんです。軍人としてあのような事態を見て手を出さないなんて、情けないし、軍人という身分を無駄にしてしまうでしょう?」容海嶽は得意げな表情を装ったが、言い終わってから突然、普段娘をあやすときの口調を無意識のうちに使っていたことに気づいた。
蘇千瓷は笑いたかったが、思わず目が赤くなった。「ありがとうございます。本当にありがとうございます」
「君は……」容睿は低く笑ったが、布団の下に隠れた拳は、わずかに締め付けられた。
あまりにも似ている。容璇が若いころと、まるで瓜二つだ。
率直で、純粋で、そして優しくて正直。
なんて素晴らしい子だろう。でも、なぜ宋一帆の娘なのか?
容海嶽は少し落胆し、彼女を見ながら、さりげなく尋ねた。「お父さんは見舞いに来ましたか?」
「ロンドンにいるんです。だんなはきっと父に知らせていないと思います」
「出張ですか?」
「公演です」