第503話：その子を殺した

「先生、唐さんが狂ってしまいました！」

……

康城第一病院に着いた時、唐夢穎はすでに制御され、鎮静剤を打たれ、縄と鍵で病床に縛り付けられていた。

予想外にも、唐夢穎は彼らを見ても、ヒステリックになることも、狂ったように暴れることもなく、ただ彼らを見つめ、精神病患者のように笑い出した。

笑い声は、次第に大きくなっていった。

病的な狂気と、冷静な嘲笑を帯びて。

厲司承を見つめる彼女の目は、すでに真っ赤で、涙がこぼれそうになっていた。

蘇千瓷は彼女の笑い声に背筋が寒くなり、月桂は傍らで厲司承に状況を説明していた：「朝早く、蓮の実と白きくらげのスープが食べたいと言って、私に作らせようとしたんです。私が外に出られるわけないので、買いに行くしかなかったんですが、まさか彼女が新生児保育器に行って、赤ちゃんを...抱き上げて床に叩きつけるなんて！」

蘇千瓷は心臓が凍る思いで聞き、尋ねた：「赤ちゃんは？」

「すでに救急処置中です。初期診断では骨が砕けているようで、体中あざだらけ、泣き声が痛ましかったです。早産児で、もともと体が弱いのに、助かるかどうかもわからない。こんな母親がいるなんて、まさに畜生以下です！」

月桂は怒り心頭で、話しながら涙を拭っていた。「自分は外で不倫をして、かわいそうな子供は、こんな母親に当たってしまって、本当に不幸です。」

唐夢穎はこれらの言葉を聞いても、まったく反応を示さなかった。

畜生以下、こんな母親。

病院に入院している間、こういう言葉を何度も何度も聞かされた。

でも、なぜ？なぜ彼女がこんな生活を送らなければならないの！

確かに畜生以下なのだ！

唐夢穎は厲司承をじっと見つめ、嬉しそうに笑った。

蘇千瓷の目からはすでに涙があふれ、唐夢穎の正気を失ったような様子を見て、低く罵った：「変態！」

生まれたばかりの赤ちゃんに、何の罪があるというの？

なぜ前の世代の恨みを、子供に向けなければならないの？

容璇はそういう人で、彼女を孤児にして、容璇の言葉を借りれば：彼女の幼い頃は、乞食以下の生活だった！

今や唐夢穎も同じような人間になり、生まれたばかりの赤ちゃんに、何の罪があるというの？

「警察には通報しましたか？」

月桂は一瞬戸惑い、蘇千瓷を見て、うなずいた。「はい。」