フォーラムを終えて外に出ると、すでに空は真っ暗になっていた。
容海嶽は時計を見ると、すでに夜の7時過ぎだった。
厲司承との約束は8時の食事で、あと5分ほどだった。
容璇は容海嶽の後ろについて歩きながら、声をかけた。「容海嶽」
「ん?」容海嶽は淡々と返事をした。以前と比べて、彼女への態度は大きく変わっていた。
この一ヶ月余り、容璇と家で顔を合わせる機会は、指で数えるほどしかなかった。
会っても、二人は挨拶や会話、うなずきさえも気が乗らず、ましてや喧嘩などする気もなかった。
正直なところ、容海嶽は彼女が必ず離婚を要求してくるだろうと思っていた。
しかし、予想に反して、そんなことはなかった。
今朝、家を出るとき、容璇がどういうわけか突然、康シティまで一緒に行きたいと言い出したのだ。
容海嶽は意外に思ったが、断ることもしなかった。
急遽もう一枚チケットを手配し、二人で康シティ行きの飛行機に乗った。
康シティに到着したのは正午で、そのまま応酬とフォーラムに参加してこの時間までかかった。
今頃になって、文句でも言いに来たのだろうか?
容海嶽は心の中で冷ややかな思いが過ぎったが、先に口を開くことはせず、鋭い鷹のような目で彼女を見つめ、濃い眉を少し上げて、彼女が話し始めるのを待った。
「厲司承と約束があるの?」
「ああ」
「今回の康シティ訪問は、彼らに会うためなの?」
彼らとは、もちろん厲司承と蘇千瓷のことだ。
容海嶽は手を上着のポケットに入れ、はっきりとうなずいた。「そうだ」
「私も連れて行って」容璇は彼を見つめた。「彼女に会いたいの」
「それは千瓷に確認する必要がある。電話してみよう」容海嶽はすでに携帯を用意していて、すぐに画面をタップして電話をかけた。
しかし、蘇千瓷の携帯はつながらず、厲司承の携帯も誰も出なかった。
突然、容海嶽は視界の端に見覚えのある影を捉えた。
それは細身の後ろ姿で、ピンク色のキャップをかぶり、長い巻き髪を肩に垂らし、ゆったりとしたロングコートを着て、黒いハイヒールを履き、マスクをつけて頭を下げたまま、暗がりの方へ消えていった。
あれは...アンナ?
でも、この時間、彼女はロンドンにいるはずではないのか?
なぜ康シティにいるのだろう?