企画書の作成者は、柳常青。
蘇千瓷はこの人の名前をよく覚えていた。前世では、厲司承がこの人をとても重要視していたようだ。
聞いた話によると、柳常青という人は正直で、妻と子供を愛する人だった。
しかし、あまりにも実直で素朴すぎて、権力に媚びることを嫌い、出世の術も知らなかったため、会社での人間関係も良くなかった。厲氏の古参社員でありながら、四、五年経っても、職位はあまり上がらなかった。
前世では、ある土地開発案が株主たちから批判と反対を受けたが、その企画は厲司承に採用され、破格の昇進で事業部長となった。
プロジェクト全体は彼の厳格な管理の下で大きな成功を収め、厲氏を新たな高みへと押し上げる重要な原動力となった。
この人が、今は……
内線を回し、秘書を呼び入れた。
秘書は蘇千瓷が真面目に資料を見ているのを見て、内心軽蔑的だった。
表情では極力隠そうとしていたが、それでもその感情は隠しきれずに表れていた。
蘇千瓷は彼女の考えをよく理解していて、気にも留めず、直接柳常青のことを尋ねた。
案の定、記憶と大差なく、職位は開発部の主任だった。
「彼を呼んでください。」
「はい。」
秘書がドアを閉めて出て行き、すぐに少し太めの男性が入ってきた。三十歳そこそこに見え、実直そうな様子で、蘇千瓷を見た時、目には深い感嘆の色と隠しきれない不安が浮かんでいた。
「女將は何かご用でしょうか?」柳常青は顔を少し赤らめ、うつむいて彼女を直視できないでいた。
「この企画書はあなたが書いたの?」蘇千瓷は開発案を机の上に置いて尋ねた。
柳常青は前に進み出て、数ページめくり、赤面しながら頷いた。
「シャンゼリゼニュータウンにはこれだけの土地があるのに、なぜこの区画を選んだの?この土地には立ち退きを拒む居住者が多く、さらにユーロスタイルの影響で価格が高止まりしているのに、なぜこの土地の入札を考えたの?」
柳常青はこの質問を聞いて、さらに不安になった様子で、頭を掻きながら、声を詰まらせて「私は……」と言った。
「大丈夫よ、遠慮なく話して。このプロジェクトに興味があるの。あなたの考えをそのまま聞かせて。」