第618章：だんな、会いたい

人々が行き交い、子供たちの笑い声、通行人の囁き声、周囲の安全を呼びかける放送、そして先ほどの危機的な出来事についての議論の声が混ざり合う中、蘇千瓷の耳には何も聞こえず、頭の中は真っ白だった。

残されたのは、ただあの一つの背中だけ。

背が高くすらりとして、以前よりもずっと痩せていた。帽子とサングラスをかけ、少し俯いて、躊躇なく大股で前へと走っていく。

一度も振り返らず、彼女を一度も見ることなく、そのまま群衆の中に消えていった。

あの日の大爆発の時のように、跡形もなく消え去った。

蘇千瓷は交差点に立ち、その姿は痩せて惨めで、親とはぐれた子供のように途方に暮れていた。

この辺りには遊具もなく、前方は遊園地の端で、高い人工の山があり、それを越えれば遊園地の外、行き止まりだった。

「厲司承、厲司承！」蘇千瓷は大声で叫んだ。声は震え、泣き声で少しかすれていた。

左右を探し回り、蘇千瓷は輪を描くように、この付近を隈なく探したが、いない、いない！

多くの人が振り返って見ていたが、彼だけはいなかった。疑わしい影さえも見当たらなかった。

彼は彼女を一目見ることさえ、もう望まないのだろうか？

胸が鈍く痛み、蘇千瓷は息が詰まりそうなほどの痛みを感じた。一つ一つが、彼が与えた傷。あんなにも酷く、あんなにも酷く……

「あなただって分かってる、どこにいるの？」

返事はなく、多くの人が彼女を一目見ると、急いで立ち去っていった。

ちょうどその時、美しい音楽が流れ、降央卓瑪の特徴的な声が耳に入ってきた：

あなたが私を見失わせないと約束したことを覚えている

でもあなたは南へ帰る渡り鸟と共に遠くへ飛んでいった

愛は糸の切れた凧のよう

あなたの約束を引き止められない

……

【前回突然あなたが見つからなくて、私は死ぬほど怖かった。何かあったのかと思って。】

【二度とそんなことはしない。もしまたあの日のように何も言わずに消えてしまったら、戻ってきた時に思い切り罰してくれていい。絶対に抵抗しないから……】

かつて彼が言った言葉が、まるで耳元で響いているかのように、はっきりと蘇ってきた。

あの時の彼は、彼女を手のひらに乗せるように大切にし、抱きしめて、優しくキスをして、そっと言った：【どんな罰でもいいよ。】