第618章：だんな、会いたい

人々が行き交い、子供たちの笑い声、通行人の囁き声、周囲の安全を呼びかける放送、そして先ほどの危機的な出来事についての議論の声が混ざり合う中、蘇千瓷の耳には何も聞こえず、頭の中は真っ白だった。

残されたのは、ただあの一つの背中だけ。

背が高くすらりとして、以前よりもずっと痩せていた。帽子とサングラスをかけ、少し俯いて、躊躇なく大股で前へと走っていく。

一度も振り返らず、彼女を一度も見ることなく、そのまま群衆の中に消えていった。

あの日の大爆発の時のように、跡形もなく消え去った。

蘇千瓷は交差点に立ち、その姿は痩せて惨めで、親とはぐれた子供のように途方に暮れていた。

この辺りには遊具もなく、前方は遊園地の端で、高い人工の山があり、それを越えれば遊園地の外、行き止まりだった。