第756章：不倫現場を押さえる【補】

「よし、これで決まりね」琴ねえさんは嬉しそうに余裏裏の手を取って、「裡裡、彼氏はいるの？あなたみたいに可愛くて性格もいい子なら、きっとたくさんの人から告白されてるでしょう？」

余裏裏は照れ笑いを浮かべ、「いいえ...私の交友関係は狭いので、彼氏はいません」

「じゃあ、好きな人は？」

無意識のうちに歐銘の顔が頭に浮かんだが、余裏裏は目を伏せ、ゆっくりと首を振った。「今のところいません」

「それは良かった。私の息子が大学院生で、あなたと年も近いの。もうすぐ卒業するから、帰ってきたら紹介させてね」

琴ねえさんの熱心さに余裏裏は少し驚いて、干笑いを浮かべた。「お子さんが私なんかを気に入るかどうか...その時になってからにしましょう...」

琴ねえさんは余裏裏の困惑ぶりを見て取り、見れば見るほど気に入って、笑いながらもそれ以上からかうのはやめた。

余裏裏はようやくほっと息をつき、思考は遠くへ飛んだ。

彼は今、どうしているのだろう...

——————————

ダブリン空港で、歐銘が空港を出たところで、見覚えのある姿をいくつか目にした。

なんと蘇千瓷と子供たちだった！

ダブリンは気温が少し低く、今日は10度で、一行は皆薄着に見えた。

歐銘は後ろに立ち止まり、前に進めなくなった。

携帯を取り出して写真を撮り、厲司承に送った後、メッセージを打った：奥さんと子供たちが来てるぞ、お前が呼んだのか？

彼女たちが子供服店に入っていくのを見届けてから、歐銘はようやくスーツケースを引いて前に進み、蘇千瓷の視界に入らないよう慎重に避けた。

－

蘇千瓷は子供たちの服を買い足し着替えさせている間に、携帯を取り出して厲司承に電話をかけようとした。

しかしすぐに考えを改め、通話を切って陸亦寒に電話をかけた。

陸亦寒の声は眠そうで、寝ていたようだった。「千千？」

「ダブリンに着いたわ。今、空港の中の子供服店にいるの」

陸亦寒は驚いて、ベッドから飛び起きながら尋ねた。「来ないって言ってたじゃないか？」

「考えを変えたの。どう、私たちを迎えに来てくれない？」蘇千瓷は冗談めかして言った。「ホテルを予約して。厲司承の隣の部屋って約束したでしょう」

「あー...彼が今泊まってるホテルは空室がないんだ。俺のホテルはどう？」