最後のゴミ袋を捨て終わった後、余裏裏は空っぽの部屋を見つめ、胸が痛くなった。
突然、外からドアベルの音が聞こえた。
ドアスコープを覗くと、大家さんだった。
余裏裏は少し驚いた。大家さんの住まいはかなり遠いはずなのに、こんな夜遅くに、まさか見物に来たのだろうか?
大家さんは四、五十代の中年男性で、部屋に入るなり驚きの声を上げた。
特に鍵穴とドアを確認すると、ひどく破壊されていた。
家具、クローゼット、壁、キッチンのすべてが見るに堪えないほど破壊されていた。
大家さんの表情が次第に険しくなり、余裏裏を見て言った。「余ちゃん、君はここに何年も住んでいて、私も君に良くしてきたと思うんだが?」
余裏裏は既に申し訳なさで頭を下げていたが、この言葉を聞いて、すぐに不吉な予感がした。
胸がドキッとし、目を上げて大家さんを見ると、目には戸惑いの色が浮かんでいた。
「最初に君を入居させたのは、一人の女の子が大変そうだったからだ。それに、君は清潔好きで、私の家や家具を大切にしてくれると思った。今、君は一体どんな人物を怒らせて、家をこんなに破壊され、すべての家具がダメになってしまった。私の損失は大きいぞ、余ちゃん。」
「私は...」
「はぁ!この部屋の状態を見てごらん。今夜はもう寝られないだろう。荷物をまとめてホテルにでも泊まりなさい。数日前に八千元以上の家賃を払ってくれたけど、実はこれらの家具の補充費用には足りない。床も壁も修理しなければならない。まあいい、このまま出て行きなさい。他の賠償は求めないから。」大家さんは手を振り、ため息をついた。
余裏裏はさらにドキッとして、叫んだ。「そんな...」
「余ちゃん、この数年、私は君に良くしてきたつもりだ。でも、君が招いた恨みの代償は君が払うべきだ。修理費用も請求しないから、行きなさい。」
余裏裏は喉が痛くなるほど詰まり、目を赤くして、もう少しで声を上げて泣きそうになった。
大家さんはそれを見て、ただ首を振りながらため息をつき、言った。「余ちゃん、私が冷たいわけじゃない。ただ、妻にも説明のしようがないんだ。自分で準備しておくれ。明日には人を呼んで部屋の片付けを始めるから。」そう言って、既に背を向けて去っていった。
その背中を見つめながら、余裏裏は胸が空っぽになったような気がした。