第812話：こんなに奔放なの？

その女は気まずそうに笑い、慌てて首を振って言った。「そんなことありません。ただ偶然ぶつかっただけです。」

「彼に気があるのかと思ったよ。彼より俺を選んだ方がいいんじゃない？」羅戰は満足げに笑い、女が何か言う前に群衆の方へ歩いて行った。

その女は感謝の眼差しで羅戰の背中を見つめ、つぶやいた。「背が高くてかっこいいと思ったのに、こんな人だったなんて。残念！」

陸亦寒がトイレから出てきた時、多くの女の子たちの視線が変わっていた。

羅戰は李さんとビールを飲みながら、隣に座っている女の子と楽しそうに話をしていた。

李さんは今夜の陸亦寒が一番人気者になると思っていたが、意外にも羅戰が全ての注目を集めていた。

陸亦寒は一方で気楽に同僚たちと話をし、羅戰の周りに人が増えていくのを見て、ビール瓶を持って近づいていった。

羅戰は女の子と映画の話をしていて、その子は甘えた様子で叫んだ。「うさちゃんはあんなに可愛いのに、どうしてうさちゃんを食べるの？ひどすぎる！」

羅戰は噴き出して笑い、言った。「*****だって可愛いのに、なんで*****食べるの？」

その場は爆笑で、ビールを吹き出す人もいた。

その女の子は顔を真っ赤にして、足を踏んで可愛らしく怒った。「羅戰さん、意地悪！」

「僕は鶏のことを言っただけだよ。あなたがうさちゃんって言えるなら、僕が*****って言っちゃいけないの？」羅戰は無邪気な表情で肩をすくめた。

陸亦寒は何故か不愉快な気分になった。こいつは...本当に蜂や蝶を引き寄せやすいな！

だから独身なのは、ただ男が好きだからなのか？

でなければ、この口の上手さで、どうして恋人がいないはずがない？

陸亦寒は唇を尖らせ、立ち上がって鍵を取り出し、同僚に一言告げて帰った。

時計を見ると、まだ夜の9時過ぎだった。

退屈で仕方ない！

陸亦寒は車を運転し、康シティの有名なバー街を通り過ぎた時、突然見覚えのあるシルエットを見かけた。

その時、一人の女の子を引っ張って外に出ようとしていて、黒いクールなレザージャケットを着ていて、かなりかっこよく見えた。

急ブレーキをかけ、陸亦寒はそちらを見た。そのシルエット、その顔は、まさしく羅戰だった！

でも、羅戰はまだバーベキューにいるはずじゃないのか？

どうしてこんなに早くここに来られたんだ？