誰が知っていただろう、お婆さんの息子さんだけでなく、受付の人までも彼女に電話番号を尋ねてきたことを。家族がお礼を言うためだと言われた。
余裏裏は少し考えてから、やはり電話番号を書き留めた。
書き終わるとすぐに、携帯が鳴った。
見ると、周しゅへんからだった。
さらに余裏裏を絶望させたのは、すでにほぼ10時になっていたことだ!
つまり、彼女は1時間も遅刻していたのだ!
余裏裏は急いでタクシーを拾って会社に向かい、最速で会社に駆け込んで打刻した。華麗なる10時の表示を見て、余裏裏は泣きたい気持ちだった。
また...遅刻してしまった...
大人しく周しゅへんのオフィスに行って謝罪する余裏裏の態度は非常に良かった。
しかし意外なことに、周しゅへんは彼女を見ると、ただため息をついて前に進み、余裏裏の頭を指さして言った。「あなたったら、今は葉茜茜と一緒に住んでいるんじゃないの?どうして葉茜茜は遅刻しないのに、あなたは遅刻するの!」
「私は...」余裏裏は頭を下げ、少し後ろめたく言った。「道中でお婆さんが倒れているのを見かけて、病院に連れて行ったので、遅れてしまいました...」
「なるほど、善行を施してきたわけね?相手が詐欺師だったらどうするつもりだったの?」
「怖かったですけど、もしそのお婆さんがそのまま亡くなったら、悪夢を見そうで...」
周しゅへんは軽蔑したような顔で言った。「まるで本当にあったかのように言うのね。」
「本当にあったんです...」
「はぁ、本当はあなたを責任編集者に昇進させようと思っていたのに、こんな状態じゃ、どうやってあなたを昇進させられるの!」周しゅへんはため息をついた。「この前のことは、ありがとう。」
余裏裏は周しゅへんが叱る気がないことを確認してから、やっと安心して顔を上げた。「大丈夫です、大丈夫です。」
「次からは気をつけて、絶対に遅刻しないでね。しっかり働いてほしいの。『取引の愛』というマンガのおかげで、私たちのアプリのダウンロード数が急増しているの。今は子魚と葉茜茜だけでは手が回らなくなってきたから、もう一人責任編集者に昇進させる必要があるの。単雨はこのことを聞いて、最近特に積極的になっているわ。あなたも頑張らないとね。私の心の中ではあなたを推しているのよ。」