第43章 服がくっついてしまった

このとき、林澈はちょうど記者たちが集まっているのを見た。

「記者が来てる。まずい、急いで行かないと。さっきも記者に会って、しばらく囲まれてしまったんだ」彼女にはまだ記者への対応経験がなく、何を言えばいいのか全くわからなかった。間違ったことを言って、記者に言葉尻を捉えられ、仕事に影響が出るのではないかと心配だった。

顧靖澤は一瞥して言った。「中に隠れる場所がある。行こう」

そう言って、顧靖澤は部下に目配せし、様子を見に行かせた。

二人はボディーガードの密かな護衛のもと、さらに奥へと進んでいった。

林澈は記者たちがついてこないのを見て、ほっとして言った。「良かった、振り切れた。でなきゃどうすればいいかわからなかった」

顧靖澤は無言で彼女を見つめ、心の中で思った。このホテルが顧氏の傘下でなければ、彼の部下がいなければ、彼女は逃げられたと思っているのか。記者たちがついてこなかったのは、来なかったのではなく、止められたのだ。