第68章 言わなければキスするぞ

夜になって、顧靖澤はやはりソファーで寝ていた。林澈がトイレに行くために起きたとき、顧靖澤がそこに横たわっているのを見た。実際、ソファーは身長190センチの彼にとってはやや短すぎて、足を乗せないといけないほどだった。林澈はそれを見て心地悪く感じ、彼を見下ろした。眠っている顧靖澤の薄い唇はきつく結ばれ、広がった眉目は普段の鋭さを失い、柔和に見えた。毛穴すら見えない滑らかな肌は、女性でさえ嫉妬するほどだった。

しばらくそうして見ていると、彼女は顎を支えながら、思わずもう少し近づいた。

この男が自分の夫だなんて。

考えると今でも不思議に思える。

そして、彼女の夫はまさにハンサムだった。

彼女が見たどんな俳優やアーティストよりも完璧だった。

もちろん、顧靖予がそれほど人気なのも、顧家の遺伝子が本当に良いからだ。

大統領閣下も、これまでで最も魅力的な大統領と称賛されている。顧家の遺伝子がいかに優れているかがわかる。

林澈は、二人が結婼してかなり長い時間が経っているにもかかわらず、こんなに細かく彼を観察したのは初めてだと気づいた。

こうして見ると、彼のまつげがこんなに長いなんて。

こうして見ると、彼の目がこんなに上がっているなんて。

こうして見ると、彼の唇がこんなにふっくらとして、こんなに…

「何をこっそり見ているんだ?」そのとき、顧靖澤の低い声が突然聞こえた。

林澈は思わず地面に座り込みそうになった。

顔を上げると、彼が冗談めかした表情で彼女を見ていた。その遊び心のある表情に、林澈は恥ずかしさを感じた。

「私は…あなたを見ていただけよ。何か問題でも?あなたは私の夫なんだから、見てもいいでしょ?」林澈は落ち着いたふりをして言い、目を据えて顧靖澤を睨みつけた。

「あなたは私の夫」という言葉に、彼の目が動いた。

笑顔がさらに深まり、彼は少し近づいた。

突然大きくなった顔に、林澈は思わず後ずさりしようとした。

しかし顧靖澤は彼女のあごをつかんで動かせなかった。

林澈は叫んだ。「なんでそんなに近づくの?」

「君は僕の妻だ。なぜ近づいてはいけないんだ?」

「あなたは私の妻だ」という言葉に、林澈の頬が一気に熱くなった。