莫惠苓は二人を見つめていた。一人は背が高く、もう一人は細身で、二人が寄り添って立っている様子は非常に親密そうだった。
そして顧靖澤の手には小さな贈り物の袋が下がっており、その袋には店の名前「時光雕刻」が描かれていた。
莫惠苓は急いで数歩歩み寄り、顧靖澤の腕をつかんで、こっそりと二人の間に割り込んだ。「靖澤」と彼女は顔を上げて顧靖澤に微笑みかけ、彼の手にあるものを取ろうと手を伸ばした。「何を持っているの?見せて」
顧靖澤は無意識に身をかわした。「何でもないよ」
莫惠苓は避けられて顔をこわばらせ、顧靖澤を見つめながら口をとがらせた。「どうして誰も連れてこなかったの?なぜあなたが持ってくる必要があるの?私が持ちましょう」
顧靖澤は思わず横にいる林澈を見た。
彼女はそこに立ち、二人を見つめ、表情は平静そうだった。
顧靖澤は言った。「いいよ、重くないから」
莫惠苓はこれ以上何も言えず、ただ横を向いて林澈をちらりと睨んだ。
林澈は自分が何か悪いことをしたのか分からず、莫惠苓がなぜ急に自分を嫌うようになったのか不思議に思った。しかし考えてみれば、莫惠苓が自分を好きになるはずがないと思った。
莫惠苓は二人を見て言った。「どうしてここにいるの?」
顧靖澤は答えた。「ああ、さっき顧家で食事を済ませて帰ってきたところだ」
莫惠苓は再び不満そうに振り返って林澈をちらりと見た。「歩いて帰ってきたの?」
顧靖澤は言った。「特に用事もなかったから歩いて帰ることにした。君はどうしてここにいるんだ?」
莫惠玲は顔を上げ、かわいらしい表情で顧靖澤を見つめ、横にいる林澈が見つめているのを無視して言った。「ちょっと何か食べ物を買いに出てきたの。まさかあなたたちに会えるなんて。靖澤、ちょうどあそこにいい雰囲気のカフェがあるわ。一緒に座って行かない?」
彼女は一瞬目を止め、林澈の方を向いて言った。「林さま、せっかくここで会えたんだから、一緒に行きませんか」
林澈は顧靖澤を見て、二人の世界を邪魔したくないと思った。しかし、断ろうとした瞬間、莫惠領が林澈の腕を取り、親密そうな様子で言った。「行きましょう。あそこに座りに行きませんか」