第71章 何を赤面しているの

顧靖溟も鋭い目つきで二人を見回し、しばらく見てから意味深に微笑んだ。

  慕晚晴はすぐに顧靖溟の結婚のことを思い出した。

  「靖溟、弟がこんなに幸せそうなのを見て、あなたもさっさと誰かを見つけなさいよ」

  「母さん、僕のことは気にしないでください。孫が欲しいなら、靖澤にもっと頑張るよう催促してください。それの方が現実的です」

  どうしてまた彼女と顧靖澤の話になってしまったのだろう。

  林澈は慌てて背筋を伸ばした。

  慕晚晴は鼻を鳴らして言った。「そうはいかないわ。あなたが一番年上なのに、今まで彼女もいないなんて、どういうことかしら」

  林澈は知っていた。大統領の結婚問題については、就任以来様々な憶測が飛び交っていたが、顧靖溟はずっと急いでいなかった。

  今や任期3年目に近づき、みんなが大統領がなぜまだ結婚しないのかを推測し始めていた。

  表面上は誰も触れなくなっていたが、今年はちょうど新しい選挙の年でもあり、再選できるかどうかは今年最後の数ヶ月次第だった。

  そのため、顧靖溟の結婚問題が再び取り沙汰されるようになった。

  その後、慕晚晴は直接言った。「今晩の部屋はもう準備できているわ。さあ、もう邪魔はしないから、二人とも休みなさい。靖澤、靖溟とあまり長く話さないで。林澈を一人で部屋に置いておくのは可哀想だわ」

  林澈は向かい側の顧靖澤を見た。

  またここに泊まるのか…

  兄弟二人が久しぶりに会って話したいことがたくさんあるだろうと察し、林澈は気を利かせてその場を先に離れた。

  林澈が去るのを見て、顧靖溟は笑いながら顧靖澤に言った。「弟の奥さん、なかなかいい感じだね」

  顧靖澤はため息をついて言った。「まあ、強制されたようなものだよ」

  顧靖溟は笑って顧靖澤を見つめた。「今は全て強制されているわけではないだろう?彼女への優しさも強制されているのか?」

  顧靖澤は言った。「彼女を妻として迎えた以上、優しくするのは当然だ。そうしなければ、彼女はまだ23歳だ。この結婼生活は彼女にとってあまりにも不公平すぎる」

  顧靖溟は深い表情で横を見て、何も言わなかった。