第78章 私は好きなことをする

林澈は脇に座り、顧靖澤の体温が近づいてくるのを感じていた。

　　彼は彼女の背後に立ち、彼女の背中に寄り添っていた。

　　彼女の頭からするシャンプーの香りも嗅ぐことができた。彼と同じシャンプーとボディーソープを使っているはずなのに、彼女の体から漂う香りは異なっていた。女性特有の香りが混ざったかのような香りで、鼻腔をくすぐり、心の奥底まで染み渡るような感覚だった。

　　彼は思わずさらに近づき、頭を下げて鼻先が彼女の髪に触れそうになった。

　　林澈は背筋を伸ばして座り、彼の息遣いが迫ってくるのを感じ、動くことさえ恐れていた。

　　顧家の使用人たちは非常に気が利いていて、二人がここにいるのを見るとすぐに静かに退いていった。

　　部屋には二人だけが残された。顧靖澤は上から彼女の白い首筋を見下ろし、手を伸ばして触れたくなる衝動に駆られた。

　　林澈は、熱い手がゆっくりと近づいてくるのを感じ、突然振り返って後ろの顧靖澤を見つめ、目を見開いて尋ねた。「ねえ、顧靖澤、何をしているの？」

　　顧靖澤は手を伸ばしているところを見つかり、一瞬面目を失ったが、林澤の問い詰めるような目を見て、さらりと眉を上げて言った。「僕が何をしているって？」

　　林澈は彼の手に目をやり、「私の背中で手を動かすのはやめてよ」と言った。

　　「林澈、僕たちは夫婦だよ。どうしてそれが手を動かすことになるんだ？」

　　「もちろん手を動かすことよ。変態！」

　　顧靖澤は顔をこわばらせ、一気に林澈の目の前に座った。その距離の近さに林澈は驚いた。

　　顧靖澤が突然寄り添ってきて、彼女の唇に軽くキスをした。

　　蜻蛉の水面つつくような軽いキスだったが、それでも熱いものを感じた。

　　林澈の顔は一瞬にして真っ赤な蘋果のようになった。

　　顧靖澤は林澈のこのような敏感な様子が本当に好きだった。まるで一触れただけで壊れそうな頬、薄い皮膚、ちょっとしたことですぐに赤くなる。

　　林澈はすぐに後ろに身を引き、彼の顔から離れようとした。

　　顧靖澤は言った。「お前は僕の妻だ。キスしたければするんだ、わかったか？」

　　「うるさい、変態！」林澈は口を押さえて叫んだ。