おそらく彼女はいつもそうだったからだろう。そして、自分のこういった偽善を隠そうともしなかったので、かえって偽善でないように見えたのだ。
顧靖澤は知っていた。彼女のいわゆる偽善は、本当は偽善ではないということを。彼は分かっていた。彼女の心の底では純粋な人間で、馬鹿なほど透明で、表面上のような拝金主義者ではないことを。
だから顧靖澤は嫌悪感を感じず、むしろ彼女がこのように遊び回る様子を見るのが好きだった。
顧靖澤は言った。「それらは全然関係ないよ」
林澈は顧靖澤を見つめて言った。「本当に関係があるなら、ちゃんと教えてほしいの。私はこういうことがよく分からないから。あなたたちが何をしていいのか、何をしちゃいけないのか、分からないの」
林澈は確かに時々自責の念に駆られることがあった。顧靖澤の妻になったのに、いつも彼に助けてもらってばかりで、自分は彼を助けるために何もしたことがないと感じていた。
それどころか、いつも彼に面倒をかけてばかりだった。
なぜなら、彼女には顧靖澤を助けられることが思いつかなかったからだ。彼女には家柄もなければ、能力もなく、ビジネスのことも分からなかった。演劇學院を卒業してからは、優秀な女優になることを目指していた。彼女は『羊たちの沈黙』のジョディの演技を見るのが大好きで、二度のオスカーを受賞したジュディ・フォスターは常に彼女の憧れだった。優秀なタレントになること以外に、彼女が最もなりたかったのは、素晴らしい女優になることだった。
しかし、これらは全て顧靖澤の生活とは全く異なるものだった。
林澈は少し顔を上げて顧靖澤を見つめ、こう言った。「ごめんね、顧靖澤。実は私はずっとあなたの役に立てなくて、いつも面倒をかけてばかりだった。でも、私はこういうことが本当によく分からないの。もし私に何かできることがあれば、必ず教えてね」
彼女は足を引っ張る存在であり続けたくなかった。
顧靖澤は謝罪の表情を浮かべる林澈を見つめ、こう言った。「君に何かしてほしいわけじゃない。林澈、君に令嬢や裕福な奥様のような生活を送ってほしいとも思っていない。君は好きなように生きればいい。これは私の生活であり、同時に君の生活でもある。君が自由に生きられればそれでいいんだ。私のために何かを変える必要はない」