第190章 この件を利用して誤魔化す

しかし、彼の味が口に残っていても、少しも気持ち悪くはなかった。むしろ、わずかな湿り気が彼女の情熱に火をつけたかのようだった。彼女の体は熱く燃え上がり、彼を抱きしめたい衝動に駆られた。

彼が離れた横顔を見つめると、唇の端にはまだ湿り気が残っていた。彼女は彼の美しい顔立ちを愛おしそうに見つめ、滝のような髪が彼の手の中で揺れているのを見た。彼女は彼をしっかりと抱きしめたい衝動と、胸の中で彼を深く愛おしく思う気持ちが湧き上がった。

彼の唇の端に浮かぶ笑みを見ると、急いで顔をそむけ、彼の手を慌てて離して奥へと走っていった。

顧靖澤は笑いながら、彼女の恥ずかしそうな様子を見て、心の中にかすかな達成感が走るのを感じた。

林澈は布団に潜り込み、顧靖澤が先ほどしてきた、湿り気のある恥ずかしくなるようなキスのことを考えていた。