家に戻ると、顧靖澤はまず浴室に入った。
林澈の足のせいで、実は昨夜は大人しかった。林澈はベッドに寄りかかって、スマホをいじっていた。そのとき、ピンという音がして、誰かがメッセージを送ってきた。
彼女がメッセージを開くと、目に入ったのは動画だった。
開いてみると、動画は少しぼやけていたが、今日起こったことだとはっきりわかった。莫惠苓と顧靖澤だった。
二人はカフェで強く抱き合っていた。
この角度から見ると、莫惠苓が名残惜しそうに顧靖澤の胸に寄り添い、顧靖澤も少し名残惜しそうに彼女の背中に手を回していた。
林澈は思わず下唇を噛み、スマホを握りしめて見つめていた。心の中で理由もなく詰まる感じがして、その後、冷笑しながら考えが浮かんだ。顧靖澤のこんな名残惜しさ……でも、彼はまだ自分とこんなに楽しく一緒にいるのね。
たぶん肉体的な欲望は、本当に強力なエネルギーを持っているのだろう。
彼女は目を閉じた。自分がこんなに魅力的で、顧靖澤が彼女の体にこれほど執着しているということに喜ぶべきなのか、それとも自分が人に弄ばれる玩具になってしまったことに心が痛むべきなのか、わからなかった……
ほんの一瞬で、彼女はまた冷静さを取り戻した。
これは誰が彼女に送ってきたのか?
莫惠苓以外に、思い当たる人はいなかった。
さっきは怒って、自分と顧靖澤のことを、そんなにみっともなく考えてしまった。でも、実際、顧靖澤とこんなに長く付き合ってきて、まだわからないのだろうか。顧靖澤は絶対にそんな人ではない。
そして彼女も決して単なる玩具ではない。自分をあまりにも軽く見すぎていた。
彼女は布団にくるまって横たわり、動画を削除し、天井の明るく輝くシャンデリアを見つめていた。
しかし、実際のところ、莫惠苓の言っていたことの一つは正しかった。
顧靖澤は確かに彼女と、そんなに長年の感情を持っているのだ。
彼は本当に名残惜しく思っているのかもしれない……
顧靖澤が戻ってきたとき、林澈はすでに寝ているように見えた。
彼はそっと近づき、横を見ると、指輪はすでに外されていた。