林澈は鋭く、好奇心に満ちた視線を感じ取り、一瞬戸惑った。十分に変装したつもりだったのに、なぜまだ気づかれるのだろうか。
しかし、次の瞬間、その視線の原因に気づいた。
顧靖澤。
そうだ、顧靖澤が高々と立っているのだ。どんなに控えめに装っても、周りの普通の人々よりも遥かに輝いて見える。
視線が落ちれば、必ず彼に向けられる。だから、彼女がどんなに変装しても無駄で、人々は何か違和感を覚えてしまうのだ。
林澈は少し不満げにこの男を見た。
なぜこんなにも格好良く生まれついたのだろう。人目を引きすぎるのも欠点の一つだ。
そのため、林澈はもはや時間をかけて選ぶ余裕はなく、急いで適当に選んで、顧靖澤を引っ張って中に入った。
中は暗くなっていて、誰も何も見えなくなる。
奥に向かって歩きながら、顧靖澤は林澈を見た。他の人々が手を繋いで寄り添っているのを見て、彼も同じように林澈の手を取った。
ここ数年の習慣で、実は外で親密な行動を取るのは好きではなかったのだが。
しかし今、林澈の手を握っていても、特に何も感じなかった。
ただ少し居心地が悪いだけだった。
しかし、これは自分の妻だと思うと、妻と手を繋いでいるのを誰かが見ても、何も言えないはずだ。そう考えて、彼は彼女の手を握ったまま、奥へと進んでいった。
二人はアメリカの大作映画を選んだ。
林澈は片手にポップコーンを抱え、もう片方の手で顧靖澤を引っ張り、後ろの席を選んだ。彼女の手にはたくさんのポップコーンがあった。顧靖澤のハンサムな顔を見た売り子の女の子が、多めに入れてくれたのだ。林澈は、これは本当に顔で判断する世界だと思った。
林澈はポップコーンを食べながら、笑って顧靖澤を見た。「どうしたの?もしかして初めて映画館に来たの?」
顧靖澤が周りを見回し、とても好奇心旺盛な様子を見て、林澈は尋ねた。
「そうだ。うちにはホームシアターがあるから、ここと同じように作れるのを知ってるだろう」
林澈は呆れて言った。「でも、感じが全然違うよ」
「しかも、ここの椅子よりずっと快適だ」
「あなたはわかってないのよ、顧靖澤。ほら、ここにこそ雰囲気があるでしょ。真っ暗で、何も見えない。へへ、感情が高まってきたら、見ているうちに気分が乗ってきて、そのままキスしたり、抱き合ったり......」