第272章 大統領閣下、私を解放してください

顧靖澤はしばらく呆然としていた。林澈を見つめながら。

  林澈は思わず口走ってしまったが、少し後悔した。こんな時に何も莫惠苓のことを持ち出す必要はなかったと。

  しかし、顧靖澤は真剣に考え込んだ後、林澈に言った。「実は、俺は惠苓と付き合っていても、彼女とどうこうしようとは思ったことがない。手を繋ぐだけでも変な気がする。俺たちの最も親密な行為と言えば、キスくらいだ。それも数えられるほどしかない。多くの場合は彼女から。でも、毎回俺は激しく発作を起こしてしまう。」

  顧靖澤は不思議そうに続けた。「俺は彼女に対して何も感じたことがないし、彼女にどうこうしようとも思ったことがない。俺が彼女と一緒にいるのは、一生彼女に触れなくても構わないと思っているからだ。彼女を得たいとも思わない。」