「そうですか、陸ちゃんったら、そんなに気を遣わなくても」と顧先德は言った。
「いいえ、これは父が北極に行った時に持ち帰った滋養品なんです。おじいさまに一つお持ちしたんです。父が言うには、とても効果があるそうですよ」
「それは本当に申し訳ない」
陸初夏は笑いながら物を取りに出て行った。
彼女が通る場所では、誰もが彼女を見つめていた。
傍らでは人々が「中にいらっしゃるのが、あの徳高き顧家のおじいさまですね」と話していた。
「ええ」
「私も初めて拝見しました。遠くからではありますが、お目にかかれて光栄です」
「そうですよ。見てください、周りの方々は皆、顧家で最も人望のある方々ばかり。顧家のおじいさまは気難しい方で、誰でも近づけるわけではないんです」
「本当ですね。今見ると、周りにいる方々は皆、顧家の中でもトップクラスの人物ばかりですね」
「あの陸さんは、おじいさまにとても可愛がられているようですね」
「おじいさまの彼女への親しみようといったら」
「もういいでしょう。あなたは諦めなさい。陸家のお嬢様のような能力と家柄がなければね」
陸初夏はそれを聞いて、自然と誇らしく感じ、通り過ぎる時には鼻歌を歌い、思わず口角が上がっていた。
中に戻ると、また顧おじいさまに品物を渡し、顧先德を喜ばせた。彼女がそこに座っているのを見て、人々はより一層羨ましく思った。
その時、誰かが顧靖溟と顧靖澤が来たと告げた。
後ろの人々は慌てて立ち上がり、大統領閣下と顧靖澤を出迎えた。
兄弟は前後して入ってきた。似通った体格と容姿だが、異なる雰囲気を持っていた。顧靖溟は大統領として、当然ながら正気に満ちていた。一方、顧靖澤は控えめで冷たい態度に慣れており、まるで深夜のような雰囲気を漂わせていた。傍らには林澈が付き添い、彼らは確かに一際目を引く光景を作り出し、周囲の多くの視線を集めていた。
陸初夏は林澈も来ているのを見て、顔を上げた。
顧靖溟と顧靖澤は顧先德が来ているのを見て、まずおじいさまの元へ行って話をした。
「おじいさま、いらっしゃいましたか」
「おじいさま」二人は恭しく頭を下げた。
「よしよし、座りなさい。あら、澈ちゃん、ずっと会えなかったけど、早くこちらへ」
顧先德は林澈を見つけると、すぐに呼び寄せた。