林澈は驚いて、まるで魂を奪われたかのように、一瞬気が付かなかった。彼が自分のズボンに手を伸ばしているのを感じ、慌てて彼の両手を押さえた。
「顧靖澤、だめ……」と林澈は言った。
「バカだな、ただ見るだけだよ」顧靖澤は再び顔を上げ、彼女の唇にキスをしながら、優しく、うっとりと言った。「ただ見るだけで、何もしないから、リラックスして」
「見る……何を見るの……」林澈は曖昧に言った。彼の巧みなキスのテクニックに誘惑され、意識が朦朧とし、唇がしびれて、もはや自分のものではないような感覚だった。
顧靖澤は彼女のズボンを開き、下を見た。
彼は当然、彼女が怪我をしていたことを忘れていなかった。
ズボンを開くと、中にまだ傷跡が残っているのが見えた。
数日経っても、まだこんなにはっきりと。
眉間にしわを寄せ、彼の琥珀色の瞳に波が立った。
心が鋭く痛んだ。
彼は目を閉じ、自分への憎しみを抑えてから、林澈に言った。「林澈、君を傷つけるつもりはなかった。わざと傷つけようとしたわけじゃない。あの日のことは、君を傷つけることが目的ではなかった。ただ、自分をコントロールできなかっただけだ」
彼は彼女を傷つけることで自分が楽になるとは思っていなかった。当時は、ただ彼女の体の中にいることで、何かの慰めが得られると思っていただけだった。
こんなに重傷を負わせるとは思ってもいなかった。
林澈は彼がまたこの件について触れるのを聞いていた。
林澈は彼を見つめ、彼が自分を誤解していたことを知った後で怒っていたことを理解し、心の中である程度理解できた。彼がそのように自分を扱ったことに対する恨みは残っているものの、かなり受け入れられるようになっていた。
特に、彼が今まさに死の淵から戻ってきたばかりで、彼が無事でいることが何より重要だと感じていた。
彼が元気でいてくれさえすれば、何もかも乗り越えられる。
そして、今の彼が非常に後悔している様子を見て、先ほどの自分の後悔の気持ちを思い出し、彼のような正直な人は、自分がそのような行為をしたことに耐えられないだろうと思った。
林澈は言った。「もういいの、考えないで。私は……理解できるわ。あなたは故意じゃなかったし、もう二度と触れないようにしましょう」