「何が醜いのよ、ダンスしただけじゃない」と顧靖澤は言った。
林澈は顧靖澤を見つめた。この女王の称号は彼女のものではなく、明らかに顧靖澤のものだった。
彼らがあんなに目立っていたのは、顧靖澤が彼女を必死に抱きしめていたからだ。
林澈は言った。「今夜の女王はあなたよ」
顧靖澤は言った。「俺は王様で、お前は俺の女だ。だからお前が女王なんだ」
「はぁ、自惚れ屋さんね」林澈はさらに笑いながら、顧靖澤を見つめ、心の中で思った。そうね、彼は確かに王様だわ。
顧靖澤は彼女を見つめ、「バカだな、本当に感謝してくれるなら...夜に帰ったら、あの服を着て...」
「...」彼女はこの話を切り出すべきではなかったと悟った。
二人は腕を組んで、すぐに外へ向かった。
スティーブンは確かにすぐに二人の客室を変更していた。
下に降りると、林澈は不思議そうに尋ねた。「なぜ下に来たの?」
「今夜は下で寝る」
顧靖澤は神秘的に言いながら、すぐに二人は下層に到着した。
この時、クルーズ船は最も美しい海域を航行中で、水面は透明で、隣には美しい島があり、下には小魚が泳ぎ回っていて、昼間なら全て見えただろう。
夜は少し暗くなっていたが、部屋に入ると、強化されたガラス窓の外に海水が見えた。
「わぁ、まさか、このクルーズ船にこんな部屋があったの?」
「ああ、特別に造られたんだ」彼はそう言いながら、窓辺に駆け寄り、外を好奇心いっぱいに覗き込む林澈を見つめた。
顧靖澤は後ろで微笑みながら立ち、彼女が楽しむ様子を見守っていた。
林澈は窓に寄りかかって外を見ているだけで、背後でその男が気付かないうちに近づいてきていることに気付かなかった。
後ろから彼女の体をしっかりと抱きしめ、首筋に顔を寄せながら囁いた。「ここに来たかった理由がもう一つある」
「どんな理由?」
「ここで君と一緒にいると、見えるのは外の小魚だけだからね」
「...」
そう言いながら、彼は彼女の体を向き直させた。
林澈は振り返り、目の前に立つ彼の逞しい体つきに息を呑んだ。
「窓際で君を抱きたい」彼は笑いながら言い、手を彼女に伸ばした...
——
翌日、二人は船にそれほど長く留まらず、船主に別れを告げてここを離れた。