林澈は頷いた。
相手は写真を撮り、とても喜んで、林澈に挨拶をして去っていった。
しばらくすると、店の店主も林澈に気付いた。この店は有名だったが、林澈は初めて来店したのだった。
店主はここに多くの芸能人が来ていたが、これほど人気のある人は初めてだった。彼は急いで近寄って言った。「林澈さん、写真を撮らせていただけませんか。」
林澈は穏やかに、笑顔で「もちろんです」と答えた。
店主は急いで写真を撮り、それから笑顔で林澈に尋ねた。「林澈さん、この写真をあちらに飾らせていただいてもよろしいでしょうか。こんなに有名な芸能人が初めて来店されて、本当に光栄です。皆さんがこんなにも林澈さんのことを好きなので、飾れば皆さん喜ぶと思うんです。」
林澈はこれも店の宣伝の一つだと分かっていたが、特に問題はないと思い、頷いて笑顔で承諾した。
店主はすぐに非常に嬉しそうに言った。「今日のお食事は私がご馳走させていただきます。」
林澈は言った。「そんな、私たちがお支払いするべきです。大丈夫です、写真一枚だけですから。」
「写真のことだけじゃないんです。林澈さんはこんなにも素晴らしい方で、それに、私は以前から林澈さんのファンでしたから。今日お会いできて本当に嬉しくて、是非ご馳走させていただきたいんです!」
林澈は彼の熱意を断れず、頷いて同意した。
ただ、ため息をつきながら考えた。次回外食するときは、個室を使わないといけないのだろうか?
不思議なことに、顧靖澤と一緒に外出するときは誰も近寄ってこないのに、一人で出かけると、なぜか認識されてしまう。
彼女は知らなかったが、顧靖澤はいつもボディーガードに密かに人々を遮らせて、彼らを邪魔させないようにしていたのだ。彼女が一人で出かけるときは誰も付いていないので、近寄ってくる人も多くなったのだ。
楊凌昕はその様子を見て嬉しそうに言った。「わあ、澈さん、今は外食してもお金がかからないんですね。芸能人っていいですね。」
林澈は言った。「実は支払うのも構わないんだけど、でも彼があんなに熱心だから断れなくて。」
二人は簡単な食事で、そんなに高額ではなかった。
楊凌昕は言った。「澈さんと一緒に出かけると、本当に面目が立ちますね。」
林澈は無理に笑顔を作り、あまり興味を示さなかった。
しかし、そのとき、また誰かが邪魔しに来た。