第450章 どうやらこのフェンシングの先生は本当に近づきにくい

「フェンシングね、ここに一人の資料があるわ。彼は最高のトレーナーと呼ばれているの。もし彼にトレーニングしてもらえたら、フェンシングで他人を圧倒的に打ち負かせるわよ」

林莉はそれを聞いて、急いで資料を手に取って見た。そこには司徒瓊という名前が書かれていた。

この名前をどこかで聞いたことがあるような気がする……

——

林澈はその日のうちに香山村へ向かって出発した。

飛行機に乗り、すぐにS市にある香山村に到着した。

車の中で資料を見ながら、隣の楊凌昕が言った。「澈さん、この人はとても重要な人なんですか?」

林澈は言った。「もちろんよ。私が完全に恥をかくかどうかに関わる人なの」

「じゃあ、なぜ顧社長に先に訪ねてもらわないんですか?」

「顧靖澤は彼とあまり交流がないから」林澈は言いながら、実は心の中で顧靖澤に自分のために人に頼みごとをしてほしくないと思っていた。

顧靖澤が行けば、二つの結果しかないだろう。一つは身分を低くして人に頼むこと、もう一つは強引に人を連れて行くこと。

人を強制的に連れて行くのはよくないし、頼みごとをするのも、顧靖澤にそうさせたくなかった。

しかも、それは彼女のためだから。

彼女が頼みごとをするのは構わない。どうせ彼女は何の身分もない人間だし、射弩地區も持っていない。面目を失うことにも慣れている。

楊凌昕は雑事の処理を手伝いながら、ホテルに着いたのを見て、二人は直接ホテルに入って荷物を整理した。

ここは香山村からそれほど遠くなく、上階から見ると、そのリゾート村は古風でありながら、とても美しく広々としていて、一目で金持ちの保養地だとわかった。

この司徒瓊も贅沢な暮らしを楽しんでいるようだ。

林澈は落ち着いたら、すぐに香山村へ向かった。

しかし、入り口で止められてしまった。

林澈は言った。「ここはリゾート村じゃないんですか?」

入り口のスタッフは言った。「申し訳ありません。本日は一般の方の入場はお断りしております」

「一般の方の入場はお断り?」林澈は尋ねた。「司徒さまはここにいらっしゃいますか?」

スタッフは林澈を一瞥しただけで、相手にしなかった。

林澈は言った。「司徒さまにご挨拶したいだけなんですが、それもダメなんですか?」

「司徒さまは誰とも会われません。お帰りください」