林澈はようやく分かった。
顧靖澤は彼女のために来たのだ。
そうだ、そうでなければ、こんな婦人会に彼が来るはずがない。
林澈はそこに座って、心から感動を覚えた。
中に入ると、顧靖澤が服を手に取って見ている姿が目に入った。上半身は着ていなくて、引き締まった背中が魅力的だった。
林澈は静かに近づき、後ろから彼をしっかりと抱きしめた。
顧靖澤は一瞬驚き、林澈の手が腰に回されるのを感じた。とても親密な様子だった。
顧靖澤は笑って言った。「どうした?誰かに見られて、やっと自分の男の価値が分かったか?」
いいえ、彼はずっと大切な存在だった。彼女にはそれが分かっていた。
まあ、実際には彼女は知らなかった。こんなにも価値のある人だとは。彼女はこういった事についてずっと無知で、C国に一体どれだけの富豪がいて、どれだけの人が世間に知られていて、どれだけの人が他人から恐れられ、近寄りがたい存在なのかも知らなかった。
でも、時にはそれでよかったと思う。なぜなら、最初から顧家がそれほど恐ろしい存在だと知っていたら、顧靖予に薬を盛る勇気なんてなかったかもしれない……
そうしたら、どうやって顧靖澤と出会えただろう。
顧靖澤は振り返って、「なんでいきなりこんなにべたべたするんだ」
「あなたの後ろ姿が急に素敵に見えたの」
「どれくらい素敵なんだ?」彼は顔を下げ、彼女の顎を指で摘んで尋ねた。
「ただ素敵だなって……」
「乗りたくなるくらい素敵か?」
「……」林澈は不機嫌そうに言った。「うるさい、誰があなたに乗るって!」
「上に乗ってる時は、僕に乗ってるじゃないか」
「……」
そんなに上に乗ったことなんてないのに。
動くのが面倒で上でじっとしていると、彼はすぐに我慢できなくなって、彼女を引き下ろして続けるのだった……
「もう行く、相手にしないから」林澈が立ち去ろうとすると、顧靖澤は彼女を引き止めた。
彼女を抱き上げ、ベッドに寝かせた。
彼は顔を近づけ、真珠のように潤んだ深い瞳で、「さあ、僕に乗って」
こんな不謹慎な言葉を、こんなに真面目な表情で言う。こんな男は、世界でもそう多くないだろう。
——
陸初夏は午後になってようやく到着し、すぐに林莉に指示を出した。