林澈は後ろに退いて、足元がふらつき、転びそうになった。
皆が驚きの声を上げる中、ある人が突然、林澈を引き留めた。
「林澈、これがお前の全力なのか」
林澈は一瞬固まった。
顔を上げると、目の前にいる司徒瓊を見て、まるで夢を見ているかのようだった。
「あなた……」
司徒瓊は冷たい表情で、相変わらず嫌な顔つきのまま、彼女を押し上げた。
彼は林澈を見つめながら、「きれいごとを言って、自分に勝つと。負けるとわかっていても諦めないと。今のがお前の諦めないということか?」
林澈は剣を握る手に力を込めた。「ただ……風邪を引いて、体調が悪くて」
「フェンシングにとって大切なのは、お前の体ではなく、剣だ」司徒は彼女を見つめた。「たとえお前の体が不自由になって、動けなくなっても、剣が動けば相手を突くことができる。それすらわからないのなら、私がフェンシングを教えたなどと言うな!」